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“装い”へ光を当てた新企画「うらじゃコレクション」
02 September 2025
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岡山の夏を代表する祭り「うらじゃ」は、鬼神・温羅(うら)の伝説をモチーフに1994年に始まった市民参加型の祭りです。スローガンは「共生と融和」。踊り手は鬼を模したカラフルな「温羅化粧」と個性豊かな衣装をまとい、街を舞台に演舞を披露する――地域の誇りとつながりを可視化する場として、いまや岡山の夏を象徴する存在となっています。

2025年、そのうらじゃが30回の節目を迎え、初めて開催されたのが「うらじゃコレクション」。演舞中心の従来の評価に加え、各連が毎年工夫を凝らしてきた温羅メイクや衣装にスポットを当て、観客と専門家の両輪で称える新企画です。審査は、PLUG MAGAZINE編集長・山本佑輔をはじめ、ファッション/美容分野の3名が担当しました。

審査委員席前で行われた各連のアピールの様子

審査員:左 株式会社さえら「overlace」デザイナー・三沢裕子、中 PLUG MAGAZINE 編集長・山本佑輔(YAMAMON)、右 美容師/株式会社エリカ 代表取締役・元井一尋

形式は、参加18連がステージ前を通り、30秒のプレゼンで衣装・メイクのテーマやこだわりをアピール。採点は「メイク40点・衣装40点・テーマ20点」の100点満点で行われ、審査員が選ぶ「温羅賞」は《松山よさこい風舞人》、来場者投票の「桃太郎賞」は《IPU環太平洋大学ダンス部&IPUスポーツアカデミー》に決定しました。

「温羅賞」盾を受け取った松山よさこい風舞人のメンバー

温羅賞の松山よさこい風舞人は、右顔に赤×白で「風」と“風舞人の『人』”、左顔に青×白で瀬戸内の波を描く温羅化粧。松山から海を越えて岡山へ向かう物語をフェイス全体で表現しました。衣装は赤/白を基調に松山市の花・椿を背から右袖へ大胆に配し、水色の差し色や金襴・黒のアクセントが祝祭感を高めています。

《受賞コメント》
松山よさこい風舞人(温羅賞)

この度、第30回うらじゃ記念企画「うらじゃコレクション」において、松山よさこい風舞人は「温羅賞」という素晴らしい賞をいただくことができました。ありがとうございます。結成依頼こだわっている椿の衣装デザインやメイクへの想いが評価され、メンバー一同とても嬉しく思っています。来年はチーム結成20周年を迎えますが、こちらの受賞のおかげで作品作りにも一層気合が入る事となりました!第31回うらじゃでも我々の衣装やメイク、演舞を楽しんでもらえるように練習も頑張っていきます。今後とも、松山よさこい風舞人の応援をよろしくお願いします。

http://yosakoikabuto.com/
https://www.instagram.com/kabuto_2007

桃太郎賞のIPUチームは、“鬼の仮面”をイメージしたメイクに細かなラインストーンを配し、照明に呼応して輝く舞台設計。衣装はピンク・青・白のチームカラーで情熱/知性/純粋さを配色に翻訳し、軽やかな素材と細部の装飾が動きの躍動感を際立たせました。

《受賞コメント》
IPU環太平洋大学ダンス部&IPUスポーツアカデミー(桃太郎賞)

私たちは環太平洋大学ダンス部と、ダンス部の大学生が先生となって指導・運営する「IPUスポーツアカデミー」です。幼児から高校生まで幅広い子どもたちが仲間と共にダンスを学び、表現する喜びを分かち合っています。今回の受賞は、子どもたちの努力はもちろん、保護者や地域の皆さまの支えがあってこそだと感じています。この受賞を励みに、今後も地域に根差した活動を続け、ダンスの力で笑顔と元気をお届けしてまいります。

参加連は(番号順)【3】七彩/【4】岡山うらじゃ連 灯歌/【7】夜舞華志連/【12】岡山うらじゃ連 蓮雫/【16】どらねこじゃ/【20】俄嘉屋/【27】岡山うらじゃ連 鬼凛/【32】環温/【39】乱舞最中/【50】踊り連おひさま/【54】岡山うらじゃ連 旭/【55】天満屋うらじゃ連/【59】松山よさこい風舞人/【61】踊り衆吉備人/【64】IPU・環太平洋大学ダンス部&IPUダンスアカデミー/【65】祭り衆『多々楽』/【72】がんばルンバおかやま/【80】一期一会〜輪舞温羅。

「うらじゃコレクション」は、単なるコンテストではなく、祭りを“装い”という視点で捉え直す試みでした。遠目の象徴性だけでなく、至近で立ち上がる素材感や衣装のディティールに対して、これまで以上に観客の意識を引き寄せるきっかけになりそうです。衣装のテーマも知ることで、演舞の熱気に“装いを読み解く楽しさ”が重なり、鑑賞体験に一層の厚みが加わりました。

岡山は学生服やデニムに象徴される繊維産業の集積地であり、踊り手の足元を支える足袋でも日本三大産地の一つとされます。生地・縫製・洗いから足袋の実用品に至るまで、「つくる」文化が生活圏に根づく土地だからこそ、装いを顕彰するコンテストがここで生まれたことには説得力があります。観客の直感と専門家の基準を併置した評価設計によって、感性と規範を交差させ、結果の語り方を複眼的にしている点も好評を得ていたように思います。今後は、制作背景の紹介や職人・学生との協働など、装いの背後にいる“つくり手”へ視線が自然に広がっていく——そんな可能性も感じさせてくれる初開催でした。来年も要注目の企画です!

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