LOCAL PRIDE -Okayama-
石川康晴(株式会社ストライプインターナショナル)

経済活動を超越する企業の存在価値。

献身的な地域活動と地元・岡山への想い

郷土愛があるか否かといえば、 おそらくほとんどの人にそれは 「ある」のだろう。けれどその”愛“を 行動で示せる人は決して多くはな いし、まして石川康晴さんほど膨 大なエネルギーを投じられる人な どほとんどいない。岡山市街地で の大規模な清掃活動「エコクリー ナーズ」にはじまり、「岡山芸術 交流」「ストライプマルシェ」と いった地域活性イベントの実施、 「おかやまマラソン」への特別協 賛、地元プロサッカークラブ「ファ ジアーノ岡山F C」へのC S R パートナー支援など。石川さん率 いる『ストライプインターナショ ナル』と「石川文化振興財団」の 活動は芸術・文化・環境・スポー ツといった分野を超えて、極めて 多岐にわたる。こういったCSR 活動を広報活動の一環とみる向き もあるが、実のところ、CSRと 企業成長に直接的相関性はほとん ど表れていない。それでもなおそ の歩みを緩めるどころかますます 加速させていく石川さんの思惑 は、どこにあるのか。 「正直に言うと、やりたいから やってるっていう、ただそれだけ なんですよね。別の言い方をすれ ば、想いも愛着もない人が無理に 何かをする必要はない、と思って るんです。地域貢献っていうのは 直接利益に結び付くものではない し、CSRは宣伝活動じゃないと 思ってるから、以前はHPでも社 内報でも一切触れてこなかった。 そもそも、地球上にありとあらゆ る課題があるなかで、いち企業に できることなんてたかが知れてる んです。前に『木を何本か植えた ところで、何の環境改善にもなら ない』と言われたことがあるんだ けど、確かにその通りで。でも、 それでもやりたいんですよ。特に 僕の場合、創業してからの数年間 は自分ひとり食べていくのも厳し くて、最悪のときは瀬戸大橋から 飛び降りてしまおうと思うくらい 追い込まれたこともある。でも、 それでも地元にはいつも支えてく れる人がいたんです。穴が開いた T シャツ買ってくれる人もいた し、シミのついた服を買ってくれ る人もいた。そんな地域の人たち に、今ようやく恩返しができるよ うになったんだから、何かしたい と思うのは当然です。4年前に設 立した石川文化振興財団では、企 業ではできなかったアプローチで 更に地域貢献の幅を広げたい。も しかすると僕が生きている間には 成果なんて実感できないのかもし れないけど、先人たちのように地 元のためになる何かを自分も残せ たらなと思っています」。

大海原に飛び込む小石でいい

そうはいっても、これまでの活動に意味がなかったわけでは決してない。昨年3回目を迎えた『おかやまマラソン』では15億円近い経済波及効果が生まれているし、『ファジアーノ岡山』の活躍は、地域の一体感の醸成やスタジアム周辺の賑わい創出、さらに地域のスポーツ振興にも大きく寄与。東北をはじめとする被災地支援では、顧客を巻き込んでの募金活動のみならず、仕事・雇用の創出でも一翼を担い、それらさまざまな取り組みの成果は日本各地で着実に実りはじめている。「確かに、やってきたことにまったく意味がないとは思っていません。たとえ太平洋に小石ひとつ放り込むようなことでも、そこで生まれた小さな波紋はこの先大きな波になるかもしれない。あるときから自分たちの活動をメディアで発信するようになったのもそのためで、共感してくれる人が増えればそれだけ大きな波に変えられるんじゃないかと思ったからです。言うなればこれは、企業の存在価値の問題なんですよ。『ストライプ』が、社会にとって存在価値を示せる企業であるのかどうか。僕らはアパレル企業だから、一人でも多くコアなファンを増やして利益につなげていくことはとても重要なんだけど、それだけではブランドのファンにしか『ストライプ』という会社の存在意義を感じてもらえない。地域、日本、そして世界中の人たちにその価値を認めてもらうためには、ただ利益ばかりが高くてもだめで、ユーザー以外の人たちにもしっかり届く”何か“を為す必要があるんです。その意味ではCSRには大きな意義があるし、継続してやっていくためには本業も頑張らなくちゃいけない。そう考えると郷土愛や地域貢献が事業成長の間に相関関係はないとも言い切れないんじゃないですかね」。

愛すべき地元グルメ

故郷に深く根を巡らせながら、 その枝葉を世界に広げるべく奔走 する石川さんにとって、岡山は、 国内外から招いた大切な客人をも てなす最高の舞台でもある。 「岡山グルメっていうとどうして も果物ばかりが目立っちゃうんだ けど、実はほかにも美味しいもの がたくさんあるんですよ。しかも コスパがいい。和食も、イタリア ンも、フレンチも、同じクオリティ なら東京の半値くらいで食べられ ちゃいますからね。僕がよく行く のは『鮨・縁』、鉄板焼なら『岡 山浜作』、焼き鳥は倉敷の『かしわ 屋 Kobayashi』あたりで、 岡山の北隣の赤磐市っていうとこ ろにある『すし処 ひさ田』なん かもすごく好きですね。ネタが新 鮮なのはもちろんだけど、吉田牧 場のチーズが出てきたり、他では まず出会えないような鮨が食べら れるから、連れていった人はみん な大絶賛してくれるんです」。 ビジネスのステージがどれだけ 広がっても、ここぞというときに 頼れる場所がある安心感。その意 味では、石川さんと故郷の関係は 昔から何も変わっていないかもし れない。

石川 康晴/株式会社ストライプインターナショナル代表取締役社長。1994年岡山市 でセレクトショップ「CROSS」を創業。1995年に「クロスカンパニー」を設立。1999年から主 力ブランド「アース ミュージック&エコロジー(earth music&ecology)」を発足。その後も海外 市場の開拓や「トム ブラウン ニューヨーク」への出資、2014年に「koe(コエ)」の立ち上げなど アパレル事業を中心とした戦略を展開し、年間グループ売上高1300億円を超える企業に成 長。2015年から事業領域をアパレルから「ライフスタイル&テクノロジー」に拡大している。

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