INTERVIEW
CAN NOT THROW AWAY-捨てられないもの-青木 貴洋 (vooデザイナー)
06 April 2020
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自分の美学に反して着続けてしまうレザーベスト

服は朽ちていく、一定期間で買い換える、一生物である必要はない。
そんなポリシーを持つ自身が約20年着続けている「bal」のレザーベスト。
あの頃の気分を蘇らせてくれる、時代を閉じ込めたような一着。

「デザイン、生産管理に携わっていたブランド《bal》の、2000年代初頭に販売したレザーベスト。印象的なライムグリーンの上質なラムレザー、ジップ周りに施したチェック生地など、随所にこだわりを詰め込んだアイテム。いわゆる“売れ筋”ではなく、渾身の贅沢が詰まった見せ筋。当時は、いまよりも音楽やカルチャーとファッションが密接にリンクしていたように思うし、“ファストファッション”と言われるカテゴリもなかった。『良いものを着たい、手に入れたい』という消費者のニーズが大きかったように思います。だから、ブランドとしてコストが多少オーバーしても、拘りを具現化することができた。それによって、地方都市ながら全国的にも認知してもらえるブランドに成長していくことができたように思います。自分の中では、ファッションは常に“移り変わるもの”であり、消費するもの。モノとして朽ちていくことが前提。ツクリ手としても一生モノを提供することを、自身に課していません。『一生モノ』という概念に支配されがちなレザーアイテムも、例外ではない。しかしそんな主義に反して、このレザーベストは約20年に渡って着続けている稀有な存在。決して懐古主義になるわけではないけれど、デザイナーとして大切にしたい、あの時代の息遣いをいまでも感じさせてくれる一着でもある。この先、自分たちと同じくらいの規模のブランドは、“広く浅く”よりも、どこまで深く掘り下げられるかが大切。作り手としての感覚を研磨しながら、《voo》のコンセプトである“引き算”の思考を、丁寧にモノツクリに反映させていきたいです」。

○青木 貴洋 (vooデザイナー)
山口県出身。23歳の時に岡山へ移住し、地元では伝説的なショップとして知られる「Black mail」と「GARDEN」で販売員として
アパレルのキャリアをスタート。1996年、セレクトショップ「BALANCE」とオリジナルブランド「balance wear design」の立ち上げに参画。
2008年に自身がデザイナーを務める「voo」を立ち上げる。2019年、ブランド10年を機に会社ごと独立し株式会社ヴェーシック代表取締社長に就任。
https://balanceokayama.tumblr.com/
Instagram @voo.jp

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