私たちは、雑誌を制作する過程で地元のひと・モノ・場所を繋げながら、郷土発展の可能性を模索してきました。そして、読者の地元に対するプライドを掻き立てることで、岡山を地方創生の旗手となる場所にしたい、そう思いながらいまも雑誌をつくり続けています。
そんな私たちが考えた新たなスタイルが、この地方誌と全国誌を混在させたバランス。岡山県の地方誌だった小誌は、全国に順次展開していくため、地域に限定的だった内容を刷新しました。この雑誌を、全国のひとに私たちの故郷オカヤマについて知ってもらうきっかけにしたい。そして、自分の郷土やいま暮らしている地域に向き合うインセンティブとなるシグナルを発信したいと思っています。
私たちは、それが本当の地方創生に必要なステップだと考えました。また、電子世界にメディアが移行していく中、雑誌は斜陽産業のひとつだと言われますが、私たちはあえて雑誌にこだわり続けます。
明治期に宮武外骨が発刊した滑稽新聞をはじめ、現況に対する危機感や反骨精神を世の中に訴えてきたのは雑誌であり、それは時代を映すアルバムにもなると信じているからです。加えて、私たちは雑誌の構造そのものに新しいアプローチを仕掛けました。掲げたのは、趣味嗜好に迎合した雑誌、気高い世界観を凝縮した雑誌、よくあるタウン情報誌などとは決別した編集方針。岡山と東京、地方企業と世界的ブランド、荒削りなページと洗練された広告、本来は共存するはずのないもの同士が入り混じった、雑誌としてはアナーキーな構成を選択しました。
広告と読者獲得のための企画立案や見た目のクオリティを追求する競争原理から離れ、雑誌は“雑”で良いと開き直りながらも、ここには確かに私たちの“編集”が介在しています。それぞれのローカルに対するプライドを再確認しながら、それを偉ぶることもなく、また卑屈になることもなく、誰もが誇ることができる日本をつくりたい。そして、小さな出版社が低迷する雑誌業界に改めて雑誌の可能性を示したいと思っています。
この雑誌を手にとってくださった人の胸に、何かひとつでも“キュン”と響くものがありますように。
PLUG Magazine 編集長
山本 佑輔 -YAMAMON-
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