2019年の区切りから5年を経て、 オカヤマアワードが再び開催される。 蓄電池、環境リサイクル、循環型林業、 金工家具、恐竜研究、うらじゃ踊り。 ステージに立つのは他分野6名の受賞者だ。 本誌では各受賞者の歩みと活動を紹介する。

恐竜の世界に足を踏み入れるきっかけは、子どもの頃に夢中になった 怪獣への憧れ。
着用しているゴジラTシャツは、林氏の原点を示すアイコン。
Nominator.06
林 昭次 岡山理科大学 生物地球学部 恐竜学科 准教授/ 恐竜学者
化石から読み解く進化の物語。 岡山を恐竜県へ導く知の冒険者。
恐竜の骨組織を分析し、成長や生態を解明する研究に挑む林昭次氏。 岡山理科大学に日本初の恐竜学科を構え、モンゴル科学アカデミーとの共同発掘調査や恐竜学博物館などでの普及活動を通じて、 岡山から世界へ恐竜研究の可能性を広げている。「恐竜はカルチャーだ」の信念で、科学と文化を結ぶ独自の活動を展開する。
恐竜研究と文化発信で、岡山から世界へ知のフロンティアを拓く
1981年、大阪府に生まれた林昭次氏は、恐竜の骨の内部構造から成長や生態を解明する古生物学者だ。北海道大学大学院で博士号を取得後、ドイツ・ボン大学の研究員、大阪市立自然史博物館の学芸員を経て、2017年に岡山理科大学に着任。現在は生物地球学部恐竜学科の准教授として研究と教育の両面で古生物と向き合っている。恐竜の骨を顕微鏡で解析する「ボーン・ヒストロジー」を軸に、生物進化の謎に迫る手法は国内外から高い評価を獲得。化石にとどまらず現生動物の骨も分析対象にし、恐竜時代と現代を架橋する研究スタイルを築いた。岡山理科大学とモンゴル科学アカデミーの共同発掘調査にも参加し、世界有数の化石産地・ゴビ砂漠で新種発見にも挑戦を続ける。この調査は林原自然科学博物館の時代から30年以上継続されており、岡山発の恐竜研究を国際的に示す成果となった。保存状態の良い化石が多く見つかるゴビ砂漠で岡山の研究者が第一線を維持してきたことは、学術界にとっても大きな意味を持っている。また、林氏を含めた恐竜学科の教員・学芸員は岡山理科大学恐竜学博物館を拠点に研究成果を市民へ公開。館内では大型恐竜の全身骨格を展示し、学生が解説員を務める仕組みを導入。こうした研究と教育と普及を結びつける姿勢も注目されている。林氏は「恐竜教室」や公開講座で子どもの好奇心にも応え続けてきた。学研の図鑑監修やテレビ出演など普及活動も多岐にわたり、科学を社会へ開く態度が際立っている。岡山といえば晴れの国や果物、桃太郎が象徴的だが、そこに「恐竜」という新しい旗印を掲げるのが林氏の「恐竜県おかやま」構想だ。福井県が化石産地として知られる一方で、岡山には研究と教育を基盤に恐竜を文化資源へ転換できるポテンシャルがあるという。恐竜学科という拠点の存在は、その方向性を示す証左と言える。学術を観光や文化と結びつけ、恐竜が地域のシビックプライドとして根づく未来、その担い手として期待されるのは林氏をおいて他にはいない。「サイエンスとカルチャーの架け橋になりたい」と語る林氏。恐竜は学術の対象であると同時に、世界共通の一大コンテンツでもある。その素地を備えた岡山がこれを活かさないのは惜しい。研究拠点としての大学、モンゴルとの共同調査、博物館での展示と普及──これらを束ねれば、「恐竜県おかやま」を内外に示す力は十分だ。恐竜にまつわる岡山の歩みと林氏の挑戦が結びつき、それを支える県民の力があれば、地域は新しい誇りと独自性を手にできるかもしれない。
モンゴル・ゴビ砂漠。白亜紀の地層が広がる過酷な環境で、恐竜化石の発見に挑む。夏季には1か月以上を現地調査に費やすこともある国際的な大規模プロジェクトだ。
岡山理科大学恐竜学博物館の展示ホール。モンゴルで発掘された大型恐竜の全身骨格標本など、貴重な化石コレクションが並ぶ。学生や研究者が解説を行い、来館者に恐竜研究の最前線を紹介している。
子ども向け恐竜教室の様子。林氏が骨格模型や化石レプリカを示しながら、恐竜の生態や最新の研究成果を解説。未来の研究者に科学の面白さを伝える取り組みだ。
PROFILE
○林 昭次
岡山理科大学 生物地球学部 恐竜学科 准教授。1981年大阪府生まれ。北海道大学大学院博士課程修了。ドイツ・ボン大学博士研究員、大阪市立自然史博物館学芸員を経て2017年より現職。恐竜の骨組織から成長や生態を探る研究を専門とし、モンゴルでの発掘調査や恐竜博物館での展示・教育活動にも従事。
HP.https://www.big.ous.ac.jp/dino/
INSTAGRAM.iwan_crouka
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