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OKAYAMA AWARD2025_Nominator.05 黒川 聖馬
11 April 2026
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2019年の区切りから5年を経て、 オカヤマアワードが再び開催される。 蓄電池、環境リサイクル、循環型林業、 金工家具、恐竜研究、うらじゃ踊り。 ステージに立つのは他分野6名の受賞者だ。 本誌では各受賞者の歩みと活動を紹介する。


Nominator.05
黒川 聖馬  次の灯株式会社 代表取締役 最高経営責任者 (CEO) 

廃棄物に新たな命を灯す。 総社発・環境ベンチャーの挑戦。

使い捨てが当たり前だった自動車部品に「再資源化×テクノロジー」の異端解を示し、 働く車の維持コスト低減と環境負荷削減を両立させる次の灯株式会社。 2018年の創業直後に西日本豪雨で工場が全壊するも、地域の支えで再起し世界規模の課題解決に挑んできた。


1,000億の先に資本主義の次を描く──岡山から世界へ

 1990年、岡山県総社市に生まれた黒川聖馬氏は、幼い頃から「社長になる」と公言する少年だった。大阪の専門学校を中退後、通信販売や飲食などに挑戦し、22歳で始めたコンタクトレンズ販売では成果を得られず、商売の厳しさを体感する。だが「お客さんに喜んでもらうこと」の重要性に気づき、25歳のときディーゼル車の排ガス浄化装置「DPF」リサイクルに活路を見出した。独学で技術を磨き、ノウハウを公開する姿勢も周りから信頼を集めることになる。2018年、前身のアイテムワンを創業するも、直後の西日本豪雨で工場が全壊し、一時は存続の危機に直面。仲間と共に復旧に奔走し、1か月後に再始動。「受けた恩は社会に返す」という信念は、この経験を通じて理念として定着した。現在は「地方発・世界課題に挑戦する環境ベンチャー」を掲げ、DPFやSCR触媒の再生を核に、燃料添加剤『SUSUGOROSHI』や工場DXなど事業を多角化。高品質なリビルト品は新品比で大幅なコスト削減を実現し、全国の物流業界から支持を得ている。平均年齢27歳の若い組織も強みだ。リビルト部品のEC直販や中古買取を導入し、従来の商流に風穴を開けた。SNS発信にも注力し、総フォロワー数は20万人を突破。近年はバッテリー再生や食品廃棄物のコンポスト化にも取り組み、循環型社会への貢献を広げている。若手の熱量と行動力が、地方からでも産業構造を変え得ることを示している点も大きい。黒川氏は「子どもたちがワクワクできる社会」と「社会の役に立つ会社」を目標に掲げる一方、資本主義の構造にも疑念を抱く。比較は人を不幸にし、善意も既得権益に変わる──その認識が彼の起業家観を決定づけている。将来的には売上一千億円、従業員三千人規模を見据え、株式を公益財団に信託する構想も持つ。これは単なる仕組みづくりではなく、企業を個人の所有物から社会の共有資産へと転換する試みであり、資本主義を超える挑戦にほかならない。岡山への思いも強く、創業直後の被災を経て地域に雇用と挑戦の場を生み出すことを自らの使命としている。地域イベントや子ども支援など小さな実践を積み重ね、企業を地域社会に開いた存在として根付かせてきた。岡山発のベンチャーとして全国的に注目を集めているが、海外展開を視野に、その存在感は更に高まっていくだろう。未来を見据えた大胆なビジョンもまた、人々の共感を集め続ける要因だ。黒川氏は「行動あるのみ」と語り、情報過多の時代にあっても自ら動き続ける挑戦者であることを忘れない。

岡山県総社市に構える次の灯のリサイクル工場。使用済み排ガス浄化装置を洗浄・再生し、高品質なリビルト品へと蘇らせる。独自に培った地域発の技術でこれからの循環型社会を支えている。

自社開発の燃料添加剤『SUSUGOROSHI』。DPFの詰まりを防ぎ、燃焼効率を高める効果で物流業界から支持を集め、ECサイトでもベストセラーとなっている。キャッチーでインパクのあるネーミングは黒川氏のアイデア。

地元の子ども食堂やイベントでお菓子を配る黒川氏。災害ボランティアや地域活動にも積極的に関わり、企業経営の枠を超えた社会貢献を実践し続けており、本拠地である総社をはじめ地域からの信頼も厚い。





PROFILE

○黒川 聖馬

次の灯株式会社 代表取締役 最高経営責任者(CEO)。1990年岡山県総社市生まれ。2018年、現・次の灯の前身アイテムワンを創業。直後に西日本豪雨で被災し一時休業を余儀なくされるも再起。ディーゼル車DPFリサイクルや燃料添加剤開発など環境事業で成長を続け、岡山発のソーシャルアントレプレナーとして注目される。


HP.https://tsuginohi.com/
INSTAGRAM.seima3_doinaka



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