2019年の区切りから5年を経て、 オカヤマアワードが再び開催される。 蓄電池、環境リサイクル、循環型林業、 金工家具、恐竜研究、うらじゃ踊り。 ステージに立つのは他分野6名の受賞者だ。 本誌では各受賞者の歩みと活動を紹介する。
Nominator.04
楠戸 聖美 俄嘉屋 代表
三十年を重ねた岡山の夏。 「共生と融和」を踊りで示す、俄嘉屋。
1994年に始まり、市民参加型の夏祭として三十年を刻んだ『うらじゃ』。 温羅伝説をモチーフに「共生と融和」を掲げ、延べ数万人が集う岡山市中心部の大祭へと発展。 その歩みを象徴する存在として、昨年「誉」を受賞した俄嘉屋の代表・楠戸聖美氏が顕彰の場に立つ。
「共生と融和」を多世代で体現し、うらじゃ三十年を象徴する俄嘉屋
岡山の夏を象徴する『うらじゃ』は、公益社団法人岡山青年会議所と市民が協働し、三十年にわたり育まれてきた市民参加型の祭である。1994年に誕生し、古代吉備の鬼神・温羅の伝説をモチーフに「共生と融和」を理念として掲げ、岡山市中心部を舞台に今も大規模に開催され続けている。三十年の節目を迎えた今年、その歴史と成果を讃えるかたちでオカヤマアワードにノミネートされた。『うらじゃ』全体を象徴する存在として顕彰を受けるのは、結成二十七年を重ね、多世代で「共生と融和」を体現してきた踊り連・俄嘉屋である。昨年、最優秀賞「誉」を獲得した実績も加わり、その代表を務める楠戸聖美氏が今回の受賞者となった。俄嘉屋は黎明期から続く最古参の連のひとつだ。小学生から社会人まで幅広い世代が肩を並べ、日常では出会うことのない人々が練習や舞台を通して関わり合う。世代を越えて交流するその姿は、「共生と融和」という祭の理念を具体的に映し出している。何よりも大切にしてきたのは、踊り手が楽しむこと以上に観客を楽しませること。演舞は一方的な表現ではなく、観る人が笑顔になれるかどうかを基準に構成しているという。楠戸聖美氏が『うらじゃ』に初めて参加したのは2006年。倉敷のチームに加わり初舞台を経験した。その年のフィナーレで俄嘉屋の演舞を目にし、観客を巻き込む迫力に強く惹かれた。翌々年から憧れの俄嘉屋に加入。いまや踊り手として十年以上のベテランだ。2019年に三代目代表へ就任。コロナ禍による中断期にもリーダーシップを発揮して連をまとめ、自分たちの演舞を守り続けてきた。「踊ってやっているのではなく、踊らせてもらっている」。歴代代表が残した言葉はいまも規範として受け継がれ、楠戸氏もその精神を大切にしてきた。青年会議所や運営スタッフが祭の場を支えてきたことへの感謝を欠かさず語る姿勢は、踊りそのもの以上に大切なものを多世代に伝えている。2024年の最高賞「誉」は、そうした活動の積み重ねが評価された結果といえるかもしれない。本年度のオカヤマアワードは、この実績を讃えると同時に、『うらじゃ』三十年の歩みを顕彰するものだ。『うらじゃ』はすでに県内外の連が参加し合い、踊りを通じた地域間交流の舞台となってきた。楠戸氏は、その動きをさらに広げ、県外からも参加しやすい『うらじゃ』であってほしいと願っている。異なる人々や文化が交わる機会が増すことで、岡山を起点とした「共生と融和」の輪が一層広がっていくことを期待したい。
高知よさこい祭りに参加した際の俄嘉屋の演舞風景。岡山の連が県外の大舞台に立ち、多世代の踊り手が一体となって舞う姿は、観客の注目を集めた。地域を越えて交流を広げる取り組みを象徴する一枚。
幅広い世代が肩を並べる俄嘉屋の集合写真。多世代かつ多様な人たちが所属しているのが俄嘉屋の最大の特徴。小学生から社会人までが演舞で一つになり、共に切磋琢磨しながら日々練習に励んでいる。
昨年のうらじゃで最優秀賞「誉」を受賞した演舞。起承転結を意識した構成と、観客を楽しませることを第一にした創意工夫が評価され、29回大会を象徴する演舞となった。上位入賞は連として数年ぶりの快挙。
PROFILE
○楠戸 聖美
俄嘉屋 代表。1975年1月8日生まれ。2006年にうらじゃ初参加。2008年に俄嘉屋へ加入し、2019年から三代目代表。多世代構成の連を率い、観客を巻き込む演舞を重視。2024年に最優秀賞「誉」を獲得。活動歴は17年を超え、岡山青年会議所や地域と連携しながら、祭の運営と発展にも積極的に関わっている。
HP.https://uraja.jp/
INSTAGRAM.niwakaya_208
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