2019年の区切りから5年を経て、 オカヤマアワードが再び開催される。 蓄電池、環境リサイクル、循環型林業、 金工家具、恐竜研究、うらじゃ踊り。
ステージに立つのは他分野6名の受賞者だ。本誌では各受賞者の歩みと活動を紹介する。

Nominator.01
伊藤 正裕 株式会社パワーエックス 取締役兼代表執行役社長CEO
電気を貯め、運び、未来を創る。 玉野発・次世代蓄電ベンチャーの挑戦。
大型蓄電池の製造からEV超急速充電、電気運搬船まで事業を拡大するパワーエックス。
岡山県玉野市に国内最大級の蓄電池工場を構え、量産によるコスト削減と安定供給を実現。 地域に最先端の産業基盤を築き、世界のエネルギー課題に挑むベンチャーとして注目される。
異色のキャリアで培った先見性を武器に、エネルギーの未来を地方から拓く
1983年兵庫県芦屋市に生まれた伊藤正裕氏は、高校在学中にIT企業を創業し、世界唯一の3D画像技術を商用化して注目を浴びた。その後ZOZOに参画し、「ZOZO SUIT」や「ZOZOMAT」などを手がけたが、次第に社会課題の解決へと関心を移し、2021年に再生可能エネルギーの社会実装を進めるスタートアップ「株式会社パワーエックス」を設立した。
同社は「つくる・ためる・はこぶ」を一体で担う新しい電力インフラの構築を掲げ、大型蓄電池の製造・販売を中心に、EV用超急速充電システムや世界初となる電力運搬船の開発に挑んでいる。
2024年には岡山県玉野市に国内最大級の蓄電池工場「Power Base」が稼働し、年間最大3.9GWhの生産能力を確保。再エネ普及の切り札と目される存在になった。かつて造船で栄えた玉野に新たな産業を築いた意義は、地域の再興にも直結する。2025年には本社登記を東京から玉野へ移転。
「本社こそ工場であるべき」と語る伊藤氏は、経営と現場を一体化させ、発電所を担う製品に絶対の品質を求める姿勢を鮮明にした。現在、工場はフル稼働を続け、2025年の受注は極めて順調、2026年にはさらに上回ると見込まれている。
全国ではすでに91か所で蓄電所施工が進行中で、次世代型コンテナ電池のプロトタイプも完成済み。半分のサイズで同容量、さらに密度を高めた新製品は2026年から量産に入る計画だ。需要拡大に対応するため、2028年竣工を目指す第2工場の建設も動き出している。
本社を置く玉野では、社員の移住や地元採用を進めると同時に、地域住民や学校を対象に工場見学を積極的に実施し、地域と共に歩む拠点づくりに力を注ぐ。
さらに、ものづくりを文化として可視化する「瀬戸内産業芸術祭」を企画し、産業とアートを交差させる挑戦にも踏み出した。産業は「創造の連続」であるとの思想を玉野から世界へと発信する姿勢は、単なる技術開発にとどまらず、社会に開かれた新しい産業像の提示でもある。
オカヤマアワードは、最先端テクノロジーで世界的課題に挑むと同時に、岡山に新しい産業基盤を築いた点を高く評価した。
再生可能エネルギーの社会実装を加速させる事業と、地域と世界を結びつける広範なビジョン。その両輪を推し進める伊藤正裕氏には、次代の岡山を象徴するリーダーとして、さらなる飛躍と国際的な存在感の向上が期待されている。
岡山県玉野市に建設された蓄電池工場「Power Base」。国内最大級の生産能力を誇り、新たな産業拠点として注目を集める。世界的建築家・妹島和世氏が設計を手がけ、未来的な景観を生み出している。
「PowerX Mega Power」 は、国内で設計・組み立てられる国産定置用蓄電池。自社開発ソフトウェアによる堅牢なセキュリティで、安定した電力供給を岡山・玉野から全国の発電所や太陽光併設蓄電所等へ届けている。
工場を舞台に産業とアートを融合させる「瀬戸内産業芸術祭」。地域文化と未来産業を結ぶ象徴であり、新しい価値観を社会に提示する試み。今年はモニターツアーを行い、2026年での本開催を予定している。
PROFILE.
○伊藤 正裕
株式会社パワーエックス 取締役兼代表執行役社長CEO。1983年兵庫県芦屋市生まれ。ZOZO取締役COOを経て2021年にパワーエックスを創業し、岡山県玉野市に国内最大級の蓄電池工場「Power Base」を開設。蓄電・充電・電力輸送など幅広い分野で革新的かつ持続可能な事業を展開している。
HP. https://power-x.jp/
INSTAGRAM. masa.ito.jp
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