FEATURE
OKAYAMA AWARD2025_Nominator.02 氏平 雄人
06 March 2026
#TAGS
  • FEATURE

2019年の区切りから5年を経て、 オカヤマアワードが再び開催される。 蓄電池、環境リサイクル、循環型林業、 金工家具、恐竜研究、うらじゃ踊り。
ステージに立つのは他分野6名の受賞者だ。 本誌では各受賞者の歩みと活動を紹介する。


Nominator.02
氏平 雄人  うじひら木材産業株式会社 代表取締役 

森を循環させる林業の先駆者。地域の暮らしと未来を支える挑戦。

自社で山林を買い取り、伐採から植林までを一貫して行う循環型林業を実践する氏平雄人氏。 木材チップやホオノキのまな板開発に加え、飲食やゴルフ場など後継者不在の事業承継にも挑み、 地域の暮らしを支える新たなモデルを築いている。


森と地域の循環から広がる持続可能な社会

氏平雄人氏が率いる「うじひら木材産業」は、創業当初から伐採と植林を一貫して行う循環型林業に取り組んできた。山林を購入し、自ら伐採を担い、その後に苗木を植えるサイクル。短期的な利益を優先すれば「伐って終わり」が合理的とされる中、彼はあえて労力とコストをかけて再造林を続けている。現在のようにSDGsやカーボンニュートラルが社会的に叫ばれる以前から、持続可能な林業の姿を率先してきた氏平氏。こうした姿勢は、従来の林業事業者には珍しいものだった。地域の林業会社の多くは製材や流通に注力し、山林を自ら買い取り再造林まで担う例は限られていたからだ。氏平氏は創業当初から林業の本質である「資源を次世代につなぐ」ことを重視してきた。その信念は、目先の収益を犠牲にしても未来に森を残そうとする強い覚悟に裏打ちされている。こうした取り組みは林業にとどまらない。ホオノキを活かしたまな板ブランド「BOKU」を立ち上げ、バイオマス発電所向けの木材チップ供給に乗り出すなど、木の価値を生活やエネルギーへ還元する仕組みも整えてきた。さらに、地域で後継者が不在となった飲食店やゴルフ練習場、サウナ、介護事業を次々に承継し、廃業によって失われかけた雇用や暮らしの場も守ろうとしている。全ての根底にあるのは「三方よし」の精神。社員には山仕事ならではの自由度を活かした働き方を提供し、柔軟に働ける環境を整える。地域には娯楽や生活インフラの維持を助け、顧客には木の魅力を実感できる製品やサービスを届けてきた。関わるすべての立場に利益をもたらす仕組みこそが、彼の事業を貫く思想といえる。高校卒業後に上京し、商社勤務や国会議員秘書を経験した氏平氏は、家庭の事情からUターンで地元・津山に戻り林業の道へ進んだ。岡山は全国有数の檜の産地であり、林業の歴史が深い地域だが、担い手不足や山林の荒廃といった課題は顕著だった。こうした現状を目の当たりにした経験が、林業を持続可能な形で再生させるという使命感を生み、いまも循環型の仕組みを実践する姿勢へとつながっている。今後は林業を中核に据えつつ、これまで培った事業を統合し、地域経済を安定的に支える仕組みへと進化させる構想を描いている。林業は必ずしも収益性が高い産業ではないが、「切って植える」という当たり前の営みを守り抜くことで未来を切り拓けると氏平氏は語る。氏平雄人の歩みは、岡山という檜の産地から持続可能な未来像を照らし出す道標となるかもしれない。

うじひら木材産業では、間伐ではなく区画内をすべて伐採する皆伐を採用。伐採後は必ず植林し、森の再生に取り組む。一貫管理できる自社山林を持つことで、持続可能な経営と環境保全を実現している。

『BOKU』のまな板に使うホオノキは包丁に優しく、古くから良材とされる。5年自然乾燥させた板は軽く反りにくい高品質。林業端材は薪として販売し、森の恵みを余さず日々の暮らしに役立てて活用している。

真庭市のクレープとジェラートの店「KIKORU」は後継者不在で閉店の危機にあったが、氏平氏が継承し存続。木材会社ならではの薪ストーブのある温もりある空間づくりで、店内は憩いの場となっている。





PROFILE.

○氏平 雄人

うじひら木材産業株式会社 代表取締役。1984年岡山県津山市生まれ。東京での商社勤務や国会議員秘書を経てUターン。林業会社を経て2014年に法人設立。伐採から植林までの循環型林業を実践し、木材チップやホオノキのまな板を展開。飲食やゴルフ練習場、サウナや介護など幅広い事業承継にも取り組む。


HP.https://u-mokuzai.com/
INSTAGRAM.u_mokuzai



TO THE NEXT …

Categories:
Tags:
BACK TO TOP