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EDITORS PICKED OUT OKAYAMA UNDER 30 THE POWER OF #04
22 April 2021
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produced by: Takayuki Horii  direction: Machiko Kawano
photography: Shinichiro Uchida (SUPC) p64-p67,p72-p73,p74( Left photo),p75

GENERATION no.4

LIFE WITH DENIM

褪せゆく紺に刻み込むのは
自分の旅路(じんせい)の記憶。

心地よさの真逆をゆく“JOURNEY ARMOUR(旅の鎧)”。
鉄板のように硬く、肌触りはバッキバキ、まるで鋼のような装着感。
ひたすら穿き尽くし、歩みを前に進めることが
この、世界一過酷なジーンズを成長させ、
自分“だけ”のものにするための唯一の《ミッション》だ。
共に歩んだ時間とともに、最高にかっこよく色落ちしたその一本は
自分自身の「挑戦を刻む記憶装置」となる。
未知の世界にワクワクし、自分の足で冒険したい
“JOURNEY ARMOUR”がそんな感情を掻き立てる。


挑戦を刻み込んだ“JOURNEY ARMOUR”を履き、大海に身をまかせて浮かぶ。彼の挑戦を見ていると、子どもの頃に探検をした時のワクワク感や、海外旅行で知らない土地を歩くようなドキドキ感が蘇る。取材をしながら、「自分もこの海に飛び込みたい」そんな衝動に駆られた。

求めるのは確実性ではなく、ワクワク感
その瞬間、やりたいことに素直でありたい。

だから彼は、未知の世界に飛び込む

海水に濡れ、穴を掘り、
デニムを酷使し続ける、そこには
彼しか知らない世界がある

人生とは旅だ ——

「カバの動画」がきっかけで旅に目覚める

祇園涼介、岡山市生まれROCKWELL JAPAN代表。彼の人生が動きはじめたきっかけは、たまたま目にした「カバの動画」だった。ライオンの頭蓋を砕き、ワニを圧倒しながらも、蝶にビビって逃げるカバ。その姿に言いようのない衝撃を受け、数ヶ月後にはアフリカに渡り、野生動物保護プロジェクトに参加。それからはアフリカだけで飽き足らず旅の魅力に取り憑かれ、学生時代は世界各国を旅して回った。そうして、8ヶ国目に訪れたチェコ共和国の繁華街でふと気づく。「車の窓から見える景色が同じにしか見えない」。しかし、タクシーから降り、自分の足で歩くと、そこにはローカルの本当の姿があった。「ただその土地を訪れればいいわけじゃない、実際に自分の足で歩くことに価値ががあるんだ」。

「どこにでもいける時代だからこそ、自分の足で稼いで得る情報にこそ意味がある」。旅の中でたどり着いたその価値観は、その後も彼の人生を動かす指針となっていく。大学卒業後、大手商社に入社するも、アフリカに関われないなら意味がないとわずか10ヶ月で退社。その後、立ち上げたのは、デニム × アフリカで世界最高のジーンズを創るプロジェクトだった。

そして、彼自身の経験とその価値観は、ひとつの新たなプロダクトとなる。「どうすれば人が歩くか考えたんです。快適さって歩きたくなる動機にはならなくて、必要なのは理由《ミッション》でした」。人を歩かせる旅人専用ジーンズ「JOURNEY ARMOUR(旅の鎧)」の誕生である。

◎祇園 涼介 Age.25 ROCKWELL JAPAN 代表
1995年 岡山市生まれ。ケニアでの野生動物保護プロジェクトに関わり、その後世界30ケ国以上を周遊。
1年間のイギリス留学を経て、豊田通商(株)に入社。10ヶ月で退職後、ROCKWELL JAPANを創設。
Instagram_@rockwell_japan
https://www.rockwelljapan.com/



最高のデニムを育てるために、穴を掘り続ける日々


“THIS ARMOUR”THE HISTORY

生地の厚さは通常の2倍以上となる「23オンス」。
快適の真逆をゆく、危険なまでに行動を制限するデニムは
人々にミッションを強制し、挑戦に向かわせる。


まず自分自身が“JOURNEY ARMOUR”を最高にかっこよく穿き込もうと、辿り着いたのは《穴掘り》。「直感的に思いついたけど、自分の中ではちゃんと理屈があった。この選択をまずは信じてみようと」。もちろん初めての挑戦。スコップやツルハシを手に取り、土に向き合う日々。足元が崩れ、容赦なく土砂が降りかかる。「ある雨の日、無心で掘り続けたあの瞬間の多幸感は、最高でした」。挑戦の記憶はジーンズだけでなく、人生の経験としても刻み込まれていく。


快適さを求めた幸せより、未知への冒険がしたい



強い想いが、ジーンズ界のプロフェッショナルを動かす

2019年、旅人専用ジーンズ “JOURNEY ARMOUR”​を
クラウドファンディングにて発表。
より強く、自分達のメッセージを伝えるために、
モンゴル・中国でのプロモーション動画撮影を敢行する。
その後、“JOURNEY ARMOUR”第2弾としてジャケットも発表。
現在約300本のデニムが、世界中の人を挑戦へ向かわせ、
褪せる紺にそれぞれの旅路(じんせい)を、刻み続けている。



通常の倍、23オンスというとてつもなく厚い“JOURNEY ARMOUR”そのプロダクトに欠かせないのが、「挑戦を刻む記憶装置」というアパレルブランドで聞くことはないであろうコンセプトをカタチにしてくれる、職人と製造設備だ。コネクションゼロの中、彼が辿り着いたのは、国内外のジーンズ通を唸らせる福山市の2社。あえて生産効率の悪い旧式のシャットル織機を使い、縫製設備も専用に改造、色落ちの風合いを極限まで追求。ブレないコンセプトと真っ直ぐな想いがジーンズ界のプロフェッショナルを動かしたのだ。

プロダクトは彼にとって表現手段のひとつ。アーティストが絵を描き、ミュージシャンが音を奏でるのと同じように、その根っこには主張したいメッセージがある。しかし、そのメッセージを単なる言葉で発信することは「野暮」。商品を手に取った方がどう感じて、どう自分のものにするかも彼にとっては楽しみのひとつだ。

すべてが順風満帆ではなく足掻き苦しんだ日もあった。それらすべてを人生の深みとして刻み、経験として受け入れることで自信に変えた。彼の人生とデニムは、便利すぎる世の中にあって《本物の》生きる充実感を教えてくれる。


極厚23オンスの生地を実現するため、旧式のシャットル織機で生地を織り、縫製設備も専用に改造したものを使用する。“JOURNEY ARMOUR”を創りだすのは世界最高峰の技術だ。人を歩かせるジーンズを作りたいという彼の強い想いが、職人達の強力なサポートによって、ここで現実となった。

工場に入ると、職人達が彼を笑顔で迎える。彼が皆に愛されているのを感じる瞬間だった。ある職人は彼のことを「昭和っぽい」と評す。仁義を大切にし、いつでも感謝と尊敬の気持ちで溢れている、そんな人柄だからこそ、産地との関係性をしっかりと築き、応援を得ているのだろう。


手元に届いた段階では、このジーンズは未完成

「ROCKWELL JAPANの製品は、手元に届いた段階では、100%の完成に至っていない。自分の足で歩き、履き込まれたジーンズだけが100%の製品に変わっていく。人生の軌跡は色落ちやシワとしてはっきりとデニムに刻まれ、履けば履くほど、さらに魅力的で愛したくなる一本に育つのだ。あなただけの人生が刻み込まれたジーンズをぜひ完成させてほしい。

新品の“JOURNEY ARMOUR”には無限の可能性がある。この「人生の記憶装置」と、どんな道を歩むかはあなた次第。旅をして自分の世界が広がり、自ら選択して考える経験が積み重なれば、人生はもっと豊かになるはずだ。テクノロジーや交通インフラが発達し、冒険する機会が少なくなっているこの時代に、このジーンズが冒険への一歩を踏み出すきっかけとなれば。


◎ROCKWELL JAPAN
人を歩かせるジーンズ“JOURNEY ARMOUR”の製作・販売をする岡山発の国産ジーンズブランド。
ジーンズを「挑戦を刻む記憶装置」だと考え、人々の挑戦のパートナーとなる製品を企画している。

◎JOURNEY ARMOUR
彼らはメッセージを製品だけでなく、プロモーション動画でも、激しく主張している。
モンゴル・中国で撮影した動画は圧巻だ。ROCKWELL JAPANのHPから是非YouTubeへアクセスをしてみてほしい。
https://www.youtube.com/channel/UCYYiDn7UV35hxjieycApMSQ/featured

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