FEATURE
地域スポーツと繋がり成長する 新しい企業のカタチ
03 October 2023
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「社内がひとつになる」
影響力の強さを実感

—ファジアーノ岡山のスポンサーとなったきっかけや、当時の考えをお聞かせください。

大三商行代表取締役社長石川和重(以下石川)〉ちょうどその頃、社内が一つにまとまるような《何か》がないかと考えていました。まさにグッドタイミングでファジアーノスポンサーのお話をいただいて「これだ!」と思ったんです。しかし、初めての試みでもあり、また事業と離れた部分に資金を投入するということに対して、正直当初は「社内で反対が起きるのではないか」と不安がありました。しかしまったくの杞憂に終わり、社内に一体感が生まれただけでなく、愛社精神のような感情が醸成されているのを感じています。例えば家族でTV観戦をしていると当社のロゴが入ったピッチボードが映される。子どもはそれだけですごく喜んでくれて、家族の話題になっているという話をよく耳にします。さらに家族でスタジアムに足を運ぶなど家族の時間にファジアーノと大三商行が深く関わっているのは喜ばしいことですね。

ファジアーノ岡山スポーツクラブ代表取締役社長北川真也(以下北川)〉ありがたいことに、Jリーグの中でもファジアーノ岡山はスポンサー数屈指のクラブ。応援の《熱量》がとてつもなく大きく、まるで自分の子どもにかけるような無条件の愛情をかけていただいています。地域全体で一緒にチームを盛り上げていこう、という意識がどのクラブよりも強いのではないかと感じています。

ファジアーノ岡山金山隼樹選手(以下金山)〉僕たち選手が好きなサッカーに打ち込めるのも、スポンサーの皆さんのおかげです。ピッチに立つと特に感じるのがスポンサー看板の多さ。こんなに多くの方々が自分たちを応援してくださっていると感じられ、その想いがプレーの一歩を後押ししてくれるんです。

大三商行取締役常務執行役員井上雅文(以下井上)〉ファジアーノは応援を「自分ごと」にしているサポーターが多い印象ですね。身近に偶然、とんでもなく熱い方がいらっしゃった経験に幾度も遭遇してきました。だから私も自分にできることをやりたい、という気持ちに自然となれるのだと思っています。個人的に、応援だけでなくグッズ購入や金山選手も賛同されている「UDN FOUNDATION(アスリートが中心となって次世代育成・社会貢献を目指す団体)」にも加入しました。企業としてできること、個人としてできることをどちらもしていきたいという気持ちにさせてもらえています。何よりね、応援が楽しいんですよ(笑)。たとえ結果には結びつかなくても、選手がベストを尽くしておられるのを間近にすることでパワーをいただいている、というのが正直な気持ちだと思っています。

選手の背中を押す、スタジアムが一体となった応援の力。

—スポンサーと地域スポーツの関わりについてどう思われますか?

北川〉ファジアーノは、親会社が存在しないクラブ。1社1社のスポンサーを本当に大切にしたいと思っています。だからこそ「スポンサーになってよかった」と思っていただける状況をつくっていかなければならない。そのためには満員のスタジアムで選手の活躍を実際に観ていただくことが一番だと考えます。つまり1人でも多くの方に足を運んでいただきたいということですね。

金山〉万単位のサポーターの応援、声援の力はとてつもなく大きなものがあると実感しています。「やらなきゃ駄目だろ」という高揚感や万能感にも変わっていく。苦しいとき、ピンチのときの後一歩を進めさせてくれるのは応援だと思っています。

—金山選手は島根出身ですが、岡山に来られてどう感じておられますか?

金山〉岡山に移籍して6年、昨季初めてプレーオフを経験して感じたのは、自分たちの想像以上に県民の皆さんがファジアーノに興味を持ってくださっているということ。昨年までは、応援はすごいがその熱はサポーターの方々に限られていて、県全体までには浸透していないのかなと思っていました。だから余計に昨年の盛り上がりは本当にすごいと感じましたね。北海道でJ1昇格を経験していますが、昇格時の街はサッカー一色になっていきます。メディアはもちろん、街で出会った方に「がんばって」と声を掛けていただける。岡山も、プレーオフ進出であれほどの盛況だったことを考えれば、さらに上を目指すことでもっともっと街が変わる、そういうポテンシャルを持った街だと思っています。

—金山選手が観てほしい、ご自身のプレーとは?

金山〉自分はスター選手というか、上手い選手では決してないと思っています。だから気持ちを全面に出すプレーが信条です。「みんなの想いを背負って戦う」いろいろな方の想いを自分のパワーにして、それをパフォーマンスに繋げていく。そういう姿を観ていただきたいし、そう考えてプレーしていることを伝えたい、と思ってピッチに立っています。

スポーツからの学びは
人生を変えることができる。

—スポーツから得られた「学び」はありますか?

井上〉サッカーとテニス、そして社会人になってからはゴルフと様々なスポーツに関わってきました。ゴルフ歴は30年になりますが「目標から逆算して行動を考える」ことを学んだと思います。自分の得手不得手や状態を理解し、目標到達できる可能性や確率を熟知しておき、それからゴールまでのプロセスを一歩一歩辿っていく。闇雲に進めていくのではなく、自分を知って戦略立てて進めていくことが大切だし、またそれが面白い。達成感も人生や社会において生きてくると考えています。

金山〉僕はサッカーしかやっていないのですが、おっしゃられたように目標に向かって一つひとつ積み重ねていくというのは同感です。もう一つ付け加えるなら「死ぬ気になってやる」ことですね。懸命になって努力し続ければ、どんな人でも必ず目標の近くまでいけるんです。自分のことを言うと、高校時代はJリーガーになるために本当に必死でした。夢叶ってJリーガーになってからはJ1でプレーしたいと考えて、2つのチームで昇格を経験しましたが、ファジアーノでも昇格を目指して、今も毎日必死で努力を続けています。そういう「必死の努力」はビジネスでもスポーツでも同様に、夢に近づくためには必要なことなのではないかと思っています。

石川〉私は野球をずっとやっていました。今でこそ「聞く耳を持ってくれる経営者だ」と周囲の方々は言ってくださいますが、当時は《頑固者》として通っていました(苦笑)。軟式野球のピッチャーをやっていたのですが、きれいな真っ直ぐを投げたくて練習していました。しかしそんなストレートはバッターにとっては打ち頃。打たれまくっていた私にコーチが言ったのは「お前の良さを活かすにはフォーム変更など何か工夫が必要になる。今のままではチームにとってはありがたくもなんともない」。私はその指導を頑なに拒み続けて、結果も出せずチームにも迷惑をかけてしまった。《謙虚》であることの必要性を学ぶことができたと思っています。

北川〉夏の甲子園で慶應義塾高等学校が107年ぶりの優勝を果たしましたが、このニュースに私はスポーツ新時代の到来を感じました。長髪でのプレーなど、今まで当たり前だと思っていた慣習から離れたところで結果を出したエポックメイキングでした。私は、新時代のスポーツは「メンタル」がポイントになってくると思っています。前向きな闘志だとか、勝つか負けるかの瀬戸際とか、スポーツにはメンタル部分がつきものです。高校サッカーで学芸館高校が優勝した際もメンタルの部分が大きかったように思います。私も経営者の立場となってみて、このメンタルが非常に重要だと気づかされました。こうしたメンタルを鍛えられたのもスポーツの恩恵と言えるのではないでしょうか。


全県で スポーツの恩恵も課題も共有し
未来へ挑む。

—岡山の地域スポーツについて考えておられることはありますか?

井上〉私も石川も岡山出身ですが、岡山県民の皆さんは控えめな方が多いように感じています。アピールがあまり上手ではないというか。様々な地域スポーツに取り組んでいるものの、どれも突出して強い、人気があるというわけではない気がします。県民として地域企業の一員として、私たちにも責任があるのかもしれませんが、もう少し盛り上げていくために周囲を巻き込むアピール力は必要なのではないかと感じています。当社では社内至るところにファジアーノのポスターが掲示してあり、マスコットも置いてあるので、来社いただいた方とは必ず話題にのぼります。地味な活動ではありますが、少しずつでも広めていけたらと取り組んでいます。

石川〉ファジアーノにもっとも共感しているのが「子どもたちに夢を!」という理念です。私の娘が中学生のときにバレーボールをしていて、3年生になったとき突然、顧問が異動になってしまい、最後の1年を不完全燃焼のまま終えてしまった経験がありました。「指導者不足」は今後どの学校にも起こりうる問題だと捉えています。スポーツは子どもたちに成功体験を植え付ける絶好の機会。そのためには指導体制の整備は急務です。ファジアーノが現在取り組んでおられるサッカー教室を始めとした子どもたちへの関わりは、スポーツに触れるタッチポイントの増大だと考えます。スポーツに関わる環境をしっかりとつくっていかなければ、一部の子どもしか優れた指導を受けられない。スポーツは身体だけでなく精神をつくるものであるとするなら、人間力形成にも関わってくるはずです。言うなれば、岡山の底力を高めていくにはファジアーノの力添えが必要になってくるのではないでしょうか。スタジアム外での活躍も、スポンサーである私たちが力を貸していけたらと考えています。

金山〉実際のところはわからないのですが、岡山県はスポーツを気軽にできる環境が実はそんなに整っていないのかなという感じがしています。例えば子どもがサッカーをしたい、バレーボールをしたいと思ったときにすぐに始められる環境がない。近年では公園での球技が禁止されているところも増えていますしね。伝聞でしかありませんが、私立高校は学校のバスに乗って競技場にみんなで向かうけど、公立高校はバスもないので、親の送迎負担が大きく、チーム内で差が出てしまうこともあると。スポーツを盛り上げていくのも大切ですが、実際に《スポーツをする》環境が整っていない問題が大きいのではと考えます。

北川〉施設の話が出ましたが、バレーボールができる体育館は県内に106箇所で、これは全国で35番目の数です。サッカー場だと18面しか存在せず、これは全国43番目。さらに照明装置を備えた施設に限ればわずか4面しかありません。岡山でスポーツをする、あるいはスポーツで地域課題解決を目指すのであれば、少なくとも現在内包している問題点、課題についてしっかりと把握しなければなりません。その上で地域スポーツを盛り上げていくことが大切なのではと考えています。地域の方々、スポンサーの皆さまと共に問題意識を共有し、解決を目指すことこそが地域に根ざしたスポーツクラブの使命なのではないかと。現在話題になっている学校部活動の地域移行問題や、先ほど石川社長がおっしゃられた指導者不足など、今後子どもたちが自分の好きなスポーツをしたくても教えてもらえないという状況に陥る未来が見えています。私たちは県内のスポーツ施設33箇所を管理しており、将来的にはその施設で月曜はバスケットボール、火曜はバレーボール、水曜はバドミントン、と日替わりで指導者と場所を同時に提供できる体制づくりを考えています。子どものやりたいスポーツが実現できる環境づくりを目指したいと思っています。

石川〉ファジアーノの挑戦を、県民と企業スポンサーが一体となって後押ししていけるようにしたいですね。

金山〉その意識をつくるには僕たち選手が結果を出すことが重要ですね。感動や笑顔が活力に変わっていきますから。J1昇格の景色を県民の皆さんにぜひ味わっていただきたいと思っています。僕たちも頑張ります!これからも応援をよろしくお願いいたします。


PLOFILE
北川 真也(きたがわ しんや)/1978年三重県出身。明治大学を卒業後、シンクタンク勤務を経て、2008年〈株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ〉に入社。同年にクラブのJリーグ加盟が承認される。2019年代表取締役社長に就任。CRM事業に力を注ぎ、J2リーグで屈指の集客力のあるチームに成長させた。

PLOFILE
金山 隼樹(かなやま じゅんき)/1988年6月島根県出雲市生まれ。Jリーグ・ファジアーノ岡山ゴールキーパー。6歳からサッカーを始め、2011年に当時JFLのV・ファーレン長崎に加入、2014年にコンサドーレ札幌に移籍。2018年、ファジアーノ岡山へ完全移籍。2022シーズンにはキャプテンとしてチームを牽引、クラブ初の3位に貢献した。



株式会社 大三商行 COMPANY INFO

期待以上を叶える挑戦。 木材の可能性。その先へ

1950年の創業から70余年。山林経営からスタートした大三商行は、「木材のプロ」として時代と共にしなやかに業容を変化させながら、今日まで着実に成長を遂げてきた。創業の地である岡山をはじめ、関東一円への供給拠点となる千葉、そしてスギ素材生産量日本一である宮崎の3拠点を構え、国内のニーズをカバーしてきた。さらに木材調達や製造、構造計画から機械加工、建設工事まで、木造建築をトータルでサポートできることを強みとしている。
「商いとは、人と向き合うことに本質がある」
事業の核には常に《木》があり、さらに《木》を通して《人》の繋がりを紡いできた。誰よりも真面目に、どこよりも丁寧に。全員がプロとしての矜持を持って眼前の課題に立ち向かう。

HP https://www.daisan-net.co.jp
Instagram @daisan_shoko
Youtube 株式会社大三商行チャンネル

本社 岡山市北区下中野708-111 tel.086-246-5241
岡山事業部 玉野市田井3-32-1 tel.0863-31-3151
宮崎サンテック事業部 宮崎県日向市日知屋耳川17062-2 tel.0982-53-8568
千葉支店 千葉県市原市八幡北町2-11-1 tel.0436-41-0355

千葉ロッテマリーンズの廣畑敦也投手(玉野光南高校出身)や、サッカーJ3テゲバジャーロ宮崎など、ファジアーノ岡山に限らず、様々なスポーツの応援を通して、地域とスポーツの発展をバックアップしている。

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