INTERVIEW
THE OWN WAY 福井柑奈(アイドル/マルチタレント)
28 April 2019
#TAGS
  • #OKAYAMA
  • #LOCAL
  • #INTERVIEW

ちょっとぽっちゃりめのたわわなボディと輝く大きな瞳。何より物怖じせずにどんなことでも体当たりする懸命さ。テレビで、ラジオで、舞台で、アイドルの枠をはみ出して活躍する福井柑奈さん、26歳。デビューから7年目、今回はじめてアイドル初期の極貧時代を赤裸々に語ってくれた。実はハングリーなストリート精神に満ちている、彼女の中にある《岡山》とは。

私がなりたいのはスターじゃない。岡山の奇跡よりも「常識」になる。

 TVで見るよりずっと小柄で華奢なことに驚く。岡山市のごくごく普通のサラリーマン家庭に生まれ、近所の大きな公園でセミやザリガニを捕り、県営プールで真っ黒になるまで遊ぶような子ども時代。「同い年くらいの子が出演している『天才てれびくん』を観て、強烈に憧れました。『すごい! 私もTVに出たい!』」。当時、柑奈さんはまだ小学生。「憧れはあったけど、見た目にも気を遣っていなかったし、自信もなかった。実はものすごい恥ずかしがり屋。人前に出るのが苦手で仕方なかったんです」。 小3の参観日。自分の描いた絵をみんなの前で発表する、ただそれだけのことが恥ずかしくてたまらなかった。「どうしても恥ずかしくて、泣いてしまいました」。

実は今でも本質は変わっていないという。「私の中には2人の自分がいるんです。人前で恥ずかしすぎて泣いてしまう私と、どんなことでもやりのけてしまう自分。福井柑奈は全力で演じているそんな自分の一面です。」。 中学生になり、周りがギャルメイクであふれるようになると、自分もメイクを覚えて派手な格好で着飾りはじめた。「高校のときにギャル雑誌『egg』(現在は廃刊)の読者モデルになる。「事務所に所属して、毎週大阪に通って撮影してました」。その後まもなくギャル文化は陰りを見せはじめ、AKB48を代表するアイドルグループが世間を騒がせはじめる。「周りからも『アイドルの方が向いてるんじゃない?』と言われ、『ポンバシwktkメイツ』のオーディションを受けたんです」。そして大阪に拠点を移し、本格的にアイドル活動を開始する。しかし、その道のりは実は順風満帆ではなかった。 「大阪で一人暮らしをするための資金は全部自分で貯めました。アイドルになってからも、しばらくはアルバイトで食いつなぐ毎日。2ヶ月経った頃、『これじゃいけない』と一念発起してバイトをやめ、アイドル活動に専念することに決めました。『私はこの世界で身を立てるんだ!』って」。

住んでいたのは大阪でも治安の良くないことで知られるエリア。家賃は4万もしないボロボロの汚いアパートで、隣人は怪しい外国人や何やら危険な雰囲気を漂わせるひとたち。隣の物音が丸聞こえの環境で、夕飯はインスタントのカップスープ1杯だけ。「家に帰ったら毎日お金を数えていました」。 大阪に移り住む前、彼女は高校に入学するも、型にはまったわかりきった人生を嫌い中退。後に通信制を利用して高校卒業資格を得ている。「通信制高校の授業料もすべて自分でつくりました。『自分で決めたんだから、誰にも頼らない』と」。《岡山の人全員に認められたい》この気持ちが、彼女をどんなことにも体当たりするアイドルを越えたアイドルへと押し上げていくことになった。「華やかな世界に憧れはあるけど、うまく表現できずに悶々と過ごした幼少期の記憶を跳ね除けたい。どんなに苦しくても、そんな気持ちが自分を奮い立たせてくれたのかな」。

 柑奈さんの原動力は過剰なまでの《承認欲求》だ。歌、演技、トーク力、何かが突出しているわけではない。周りにはすごい才能の人間が多すぎる世界だ。「歌手なら歌、俳優さんは演技、と自分に自信とプライドを持って臨まれている。私はいつもそんな共演者の皆さんから『学ばせてもらう』というスタンスを大切しています」。 彼女は、「ポンバシwktkメイツ」時代からファンとの《直接交流》を大切にしている。売れっ子になった今でも、月に一度のコミュニケーションは欠かせないライフワークだ。「ファンがいないと私は成立しないから。ファンを裏切るようなことは絶対にしない」と決めている。今は結婚願望もなく、彼氏もいない。「今は仕事が一番大事」。占い師に『寂しい人生ですね』と言われ、知ったこっちゃないわ、と、その場で一蹴したこともあります(笑)」。 東京や大阪でTV、ラジオ、舞台と幅広く活動し、SNSで目撃情報が出回るなど認知度も次第に高まってきた。しかし、《有名になりたい》と抱いた野望は決して全国区のものではない。「《岡山では》誰でも知っている福井柑奈になりたい。その辺を歩いているおっちゃんおばちゃんに話しかけてもらえれば、それでいいんです。岡山を離れているとザワザワし始めて、『ヤバイ、早く帰らなきゃ!』ってなっちゃう」。 

地元TV局のレギュラー番組だけでなく、2018年岡山映画祭に出展し、オール倉敷市児島地区ロケで敢行された「かみいさん!」や岡山の企業CMへの出演。年を重ねるごとに岡山での露出も増えてきた。それ以来、「岡山の映画やCMにもっと出たい!」という気持ちが大きくなった。「岡山の人に、本当の私を見てほしい。福井柑菜の人間性を知ってほしい、と思うんです」。目指すのは《女優、福井柑奈》。そして奇跡ではなく《岡山の常識》になることだ。

○福井柑奈/アイドル,マルチタレント
1992年、岡山県岡山市生まれ。高校時代に地元でモデル活動を行い、卒業後の2012年、大阪日本橋のアイドルグループ「ポンバシwktkメイツ」定期公演にてデビューした。ライブ活動のほか、テレビやラジオにも出演し、特にバラエティー番組でのトーク力に定評がある。2015年から舞台女優として活動の場を広げ、大阪を中心に全国で公演。「ポンバシwktkメイツ」卒業後はテレビ・ラジオ・舞台と幅広い分野でマルチタレントとして活躍中。

BACK TO TOP