INTERVIEW
MY OWN WAY 清水正大(株式会社Zeals 代表取締役 CEO)
12 April 2020
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「日本をぶち上げる」2014年、東日本大震災から3年後の4月、明治大学の学生がスタートアップを興す。 株式会社Zeals 代表取締役 CEO、清水正大が22歳のときだった。 営業・販売・接客に新たな道を示すAIおもてなしサービス「チャットコマース “ジールス” (旧fanp)」を開発、 誰もが知るIT大手企業から8.5億円もの資金調達も実現した。 日本だけでなくアジアが、世界がその動向を見つめる男の原点を探る。

自分の人生に真剣に向き合えば、歯車のような生活で良いはずがない。命を燃やせる志に全てを懸けて生きる。

大学在学中に起業し、販売のあり方を変える革命的システム「チャットコマース《ジールス》」を開発。有名企業が彼の志と将来性に巨額を投資し、日本だけでなくアジアが、世界が次代の寵児と動向に注目している。「日本をぶち上げる」AIとテクノロジーで《産業の根底を覆し、誰もが自分のやりたいことに挑戦できる社会の仕組みをつくる》ために有能なチームメンバーとともに奔走する、清水正大。 知らない人は見過ごし、そのまま街に溶け込んでいるだろう、笑顔が気さくな27歳の好青年だ。しかしひと度向かい合ったなら、その熱弁と確たる人間性に飲まれそうにすらなってしまう。彼の人生を賭した使命「日本をぶち上げる」は倉敷市水島の工業地帯、誰もが覚えのある心の隙間から染み出した感情が原点だった。

飲食店をいくつも運営していた裕福な家に生まれるが、ほどなく事業が傾き生活も一変、中高に進んでからも「とにかく金がない。大学なんて考えようもなかった」。工業高校卒業後、水島にある大手企業に就職し、工場で航空機のサポートリングなどを製作する毎日を送った。「とにかく、仕事が嫌で嫌で。楽しいと思ったことなんか一度もなかった」。その頃の楽しみといえば、休日に友人たちと過ごすこと。話題はもっぱら愚痴だった。「自分にとっての工場勤務は、圧倒的に歯車でしかなかった。このまま年を取ってしまうんだろうか? と、常にフラストレーションを抱えていましたが、何もできないままでした。食べていかなきゃいけないから」。 2011年3月11日。東日本大震災を目の当たりにしたその時、19歳の彼は人生に真剣に向き合うようになる。「いつ終わるのかもわからないのに、こんな人生はまっぴらだと思いました。『人生を賭けて大きなことをしたい』——《日本をぶち上げる》に人生を賭けようと決意したんです」。

「仕事を辞めてまですることか?」周囲は反対した。大学で学び直すことを決め、必要な資金を貯めながらこれまで無縁だった受験勉強へ打ち込む。「学費は奨学金で賄える。未来の自分であれば奨学金くらいすぐに返せるはずだ」と、たった1年で明治大学へ合格。しかし大学も彼の志を満たすことはできず、スタートアップに踏み切った。

「自信じゃない、使命感しかない」。どれだけのビッグネームにも臆さず本音でぶつかり、時に強い言葉で攻撃することもある。一歩を踏み出せない人間からすると自信にあふれているように見えるが、命を賭ける《使命》しか彼の中にはない。「僕にはなにもなかった。人脈なんてもってのほか、東京は知らない人しかいなかった。『この人に会いたい』と思ったらなんとしても会いに行き、無視されても何度も何度でもメッセージを送り続けました」。 お金のために仕方なく働いている人たち。可能性を見ることができず、目の前にあることに手を伸ばすしかない若者たち。そんな一歩を踏み出せず、成功者を羨み遠くから見ることしかできない日本人に彼は声を枯らす。「僕にもできたんだから、誰にでもできる」。

世の中の仕組みを変えるためには、《スタートアップ》若者たちが奮起していろんな挑戦をするしかない、と言う。「動くきっかけや道筋を変えてくれる人との出会いやチャネルがあれば、スタートアップやいろんな挑戦が加速すると思っています」。チャットボットを利用したAIおもてなしサービス「チャットコマース《ジールス》」をはじめ、彼と彼のブレーン達が創り上げようとしているシステムは、《コミュニケーションを科学する》こと。それが営業・販売・接客を行う人々に新たな道を示すことにもつながっている。

《日本をぶち上げる》決して平坦な道ではない。「難易度は高いけど、初心でありビジョンでもある。これからもブレることなく走り続けていきます」。ドロドロの底辺から這い上がった彼が、先導となって日本を変えることができれば、後に続く若者たちにもエネルギーが伝わることだろう。彼は間違いなく、次代を創る一人だ。

○清水正大/株式会社Zeals 代表取締役 CEO
1992年倉敷市生まれ。高校卒業後、倉敷市水島地区の大手重工業企業に就職。東日本大震災を目の当たりにし「日本をぶち上げる」という志に人生を賭けることを決断。働きながら貯金した資金で、明治大学に21歳で入学し、大学在学中にZealsを設立した後、大学中退。2018年「アジアを代表する30才未満の30人の起業家」(Forbes 30 Under 30 Asia) のエンタープライズ・テクノロジー部門に選出。

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