石川康晴の哲学塾 Vol.11
×トリンドル玲奈

ソフトバンクモバイルのCM白戸家に出演しブレイク!マルチタレントとしてドラマにも出演する等、その活躍のステージを広げる彼女は、マルチリンガルの現役大学生として勉学にも勤しむ二十歳の女の子。いま旬のタレントに石川氏が仕事の哲学を訊いた。

石川)僕はいま岡山大学の経済学部に通う学生をしながら社長業をしています。最近はアジア戦略にも力を入れていて中国への出張や内閣府の議員も務めさせてもらっているのですが、そんな中で「時間の使い方」ということをよく考えるようになりました。トリンドルさんもモデルやタレント、学生として多忙な毎日を送られていると思いますが、どのように工夫されていますか。

トリンドル)大学に行く日と仕事のスケジュールをきっちり分けて動くようにしているので、時間の使い方で困ったっていう経験はないですね。その点は事前にお願いをしているので、調整していただいているマネージャーさんの方が大変だと思います。学生だからとかモデルをしているからとか、やらせてもらえることが増えても、それで自分の時間の使い方が難しくなるっていう考え方はしていないですね。

石川)例えば、僕も経験があるんだけど、夜中まで仕事があって翌日大学のテストとか、逆に大学が終わってから本当は友達とおしゃべりしたいのにすぐ仕事の現場にいかなきゃいけないとか。忙しいから何かしらストレスを感じることもあると思うんだけど、そんな時はどうやって気持ちを切り替えていますか。

トリンドル)お母さんと話すことですね。何か嫌なことがあったり落ち込むことがあったら何でもお母さんに話すようにしています。

石川)忙しい時こそ「無になる時間」というのが大切だと思っています。僕の場合は、例えば趣味のテニスをしたり、中国であれば足つぼマッサージに行ったりとか(笑)。メンタルを良好に保つ為にも、いくつかそういう自分の心をリセットしてくれる術を持っておく必要があると思います。トリンドルさんの場合は、お母さんとのコミュニケーションを大事にしているようですが、他にどんなことでリセットしていますか。

トリンドル)やっぱりお母さんの作ってくれたご飯を食べている時ですね(笑)。あとは猫と遊んでいるとき。メイクさんやスタッフさんと話している時も楽しいので、石川さんの言われている無の時間っていうのはそんな何気ないときなんじゃないかなと思います。自分の中では、頑張って無になる時間を作りすぎると後で現実に戻るのがすごく大変になるような気がしていて。それに、一日休みがあると何していいか分からなくなっちゃうので。仕事も勉強も、自分が何をしていてもそれをしっかり楽しめるように意識しています。

石川)その考え方素晴らしいですね。僕もビジネスを十八年やってきて、いろんな人を見てきました。例えば、いくらビジネスで成功してお金持ちになっても、メンタルのバランスを崩して病気になってしまう人が少なからずいました。そんなことから、人生の成功者っていうのはメンタルを良好に保つ術を持てる人、体力も気力も充実した健康な人っていうのが結局は人生の成功者なんじゃないかとも考えています。最近は大学で栄養学の授業も受けているんですけど、これが本当に面白いんですよ。

トリンドル)いいなぁ〜。私も栄養学にすっごく興味があるんですよ。

石川)この話を始めると長くなってしまうので割愛しますけど、要するに頑張る為にも、当たり前かもしれませんが健康というキーワードは外せないと思う訳です。じゃあ、なぜ頑張るかといえば、そこには目標があるからで、僕の目標は世界一のアパレル企業になることです。いま世界一位は北欧のH&M、二位はスペインのZARA、三位がアメリカのGAPで四位がユニクロ。その一角に入って世界一になるためには売上げだけでもいまの十五倍頑張らないといけないんですが、これが僕の夢であり野望です。いまモデルからバラエティーまで幅広く活躍されていますが、トリンドルさんの夢や野望はどんなことですか?これは僕の私見なんですが、いまいろんな活動をされてらっしゃるのは全て伏線で、トリンドルさんは将来的に何かすごいことを考えているんじゃないかって感じています。どこかで爆発的に抜き出た存在になっていくというか、例えるとスティーブ・ジョブスみたいな感じになっていくんじゃないかなと。

トリンドル)褒め過ぎですよ(笑)。いまは本当にいろんな世界を見て勉強させていただいています。すごくインプットが溜っている感じなので、それをどんなカタチかは分からないですけどアウトプット出来る時が来ると良いなと思います。最近、演技を本格的に始めたんですが、当面は映画でもドラマでも、まずは女優業をしっかりやっていきたいなと考えています。やるからにはとことんやる性格なので。夢とか野望は…まだ明確にはないんですが、とにかくいまは目の前のことに本気で取組むだけですね。

石川)トリンドルさんはまだ二十歳だから、これから蓄積したものをどう活かして夢や野望に近づけていくかが大事になってくるでしょうね。正直、僕も二十歳の時はそんな最終目標みたいなこと考えていなかったですから。でも、アキレス腱が切れるくらい背伸びし過ぎた目標は駄目だけど、頑張ればギリギリ届く目標っていうのを常に追いかける姿勢は大切にしてください。さっきの世界一のアパレル企業になるって話なんですが、いまクロスカンパニーは日本で十位くらいのアパレル企業なんです。一位はワールド、二位はオンワード樫山という会社なんですが、それを知って日本一と掲げるんじゃなくて、僕の場合は世界一という目標を掲げました。

トリンドル)まだ夢や野望がはっきりとはしていないですけど、ただ、それを人に話す時には、周りが納得するような目標じゃなくて、聞いた人がビックリするような目標を持っていたいなとは考えています。結局人って誰のことよりも自分のことを一番真剣に考えると思っているので、周りの意見に翻弄されるんじゃなくて、最後は自分の意志で決めて進んでいきたいなと思っています。

石川)トリンドルさんは幼い時に引っ越しをたくさん経験されたと聞いていますが、その中で得たものはありますか。

トリンドル)引っ越しが多いと、いじめられたりとか大変なことが多いんじゃないかとよく聞かれるんですが、そんなに憂鬱に考えたことは無いですね。幼なじみみたいな友達こそ出来なかったですが、いろんな国や地域を見られたのはすごく良い経験だったと思います。おかげで、どんな環境でも順応出来る感覚が身についたような気もしています。どの学校も地域もすごく楽しかったですから。一番の衝撃は、オーストリアにいる時には母が外国人になって、日本にいるときには父が外国人になっちゃうんです。そのことでオーストリアにいる時に母のことが少しだけ嫌いになってしまう時期もありました。あれだけお母さんのことが好きだったのに何でだろうって。でも、その経験があるから国籍の違いや文化の違いも含めて、何でも受け入れられるようになったんだと思います。

石川)幼い時からすごく高いコミュニケーション能力と国際感覚を養ってこられたということですね。よく新入社員に言うことなのですが「与えられた環境で楽しさを見つけられないと一生不幸になる」という話をします。僕がサラリーマン時代に最初に与えられた仕事はトイレ掃除でした。普通なら憂鬱になる人も多いんじゃないかと思いますが、僕は凄く楽しかったのを覚えています。それは、このトイレ掃除っていう仕事で自分自身の評価を得てやろうという気持ちがあったからで、トイレの天井まで掃除しました。ここまでやれば褒めて評価してもらえるだろうなんて考えながら(笑)。ある意味そういった計算というか腹黒さみたいなものも、成功しようとする上では大切だと考えています。トリンドルさんも、きっと仕事の全部が楽しいことばかりじゃないはずだし、やりたくないような仕事もあるはずなのに、それを周りに感じさせないその明るさは「与えられた環境で楽しさを見いだす」ということを本能的に理解しているからじゃないかと思うのですが。

トリンドル)私はそんなに腹黒くないですよ(笑)。最初はこれ少し嫌だなとか抵抗があるなと思っていたことでも、終わってみると凄く楽しかったっていうことが多いですね。最初の印象と終わりの印象が全然違うというか。その経験がたくさんあるのでどんなことでも気持ちよく取組めるんだと思います。

石川)今回のプラグの特集は「親孝行」がテーマになっています。僕の場合は、自分が起業して七年目でおじいちゃんが亡くなった時に、孝行ということに気づかされました。自分が小ちゃな時から川遊びに連れて行ってくれたり、いつも面倒を見てくれていたおじいちゃんと一緒に撮った写真もあまりなければ、結局仕事のことばかりで何もしてあげられていなかったんです。それからはおばあちゃんと親と一緒に毎年旅行に行ってしっかり思い出を残すようにしています。おばあちゃん孝行が親孝行にもなると考えて。トリンドルさんはこれまでにした親孝行ってどんなことですか。

トリンドル)いまも実家で一緒に暮らしているので、毎日両親と顔を合わせているせいか、そこまで改まったことは何もできていないですね。お母さんが風邪をひいて寝込んでしまった時に、キッチンやトレイ掃除とか家事を変わりにやったくらい。でも親のことはすごく尊敬しています。私が大学に進学した時に、妹と私の学校への通学距離を考えてわざわざ中間地点に引っ越しをくれたり、それだけ子供のことを考えて行動してくれる両親に本当に感謝しています。親としてお母さんのことを見ているんですけど、母親として意見を求めるとぶつかっちゃうこともあるので、最近は一人の女性として話をしている気がします。母は私が一番尊敬出来る女性ですね。近いうちに時間をつくって、自分が働いたお金で、家族みんなで旅行に行きたいと思っています。それが最初の親孝行になるのかな。

石川)親のことを一番尊敬できる人だって言えるのは本当に素晴らしいことですね。これからもその周りの人を大切にする思いやりとポジティブな思考とメンタルで頑張ってください。活躍を期待しています。

トリンドル)ありがとうございました。イーハイフンワールドギャラリーのキャラクターもしっかり頑張ります!

トリンドル玲奈/ファッションモデル

1992年生まれ。オーストリアのウィーンにてオーストリア人の父と日本人の母との間に出生。実業家の父の仕事の関係で、幼少期から日本、オーストリア、フランス、アメリカ合衆国を行き来する生活を送り、14回の引っ越しを経験する。慶應義塾大学環境情報学部に在学中。スカウトを受けプラチナムプロダクションに所属し2009年に広告に起用されデビュー。モデル、女優、タレントとして活動し、ファッション誌のモデル、ファッションショー・CM出演など多岐に渡り活躍中。2012年より株式会社クロスカンパニーが全国に95店舗を展開する「E hyphen world gallery」のブランドキャラクターを務める。

石川 康晴/株式会社クロスカンパニー 代表取締役社長

1970年岡山市生まれ。95年クロスカンパニーを設立。99年に「earth music&ecology」を立ち上げ、現在では他ブランド含め、国内店舗数約510店舗まで拡大、昨年9月には中国に進出。宮﨑あおいを起用したテレビCMでも注目を集めている。一方、女性支援制度を中心とした社内制度の充実、環境活動や地域貢献へも積極的に取り組み、東日本大震災で被災者130人の雇用を行ったことでも話題となった。内閣府男女共同参画会議議員。現在、岡山大学経済学部在学中。

編集者PLUG

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