田中知之(FPM)SOUND CONCIERGE_vol.01

第一曲「東京の夜景とアンセムの不在」

今回のお店は、旧知の仲である中村貞裕氏が代表を務めるトランジットジェネラルオフィスが運営するシドニー発のタイ料理レストラン「Longrain(ロングレイン)」。高層39階からの眺望は東京の夜景を堪能できる大パノラマ!活気溢れる大型ダイニングに160席を完備した都内でも稀有なキャパシティを誇る。アロマティックなスパイスの香りが魅力的な大皿料理やモダンにデザインされた空間演出でも注目を集める人気店。田中氏はこの日が初来店だ。「中村くんからオープンの話は聞いていたけど、なかなかタイミングが合わず、今回が初来店。自分は恵比寿界隈を拠点にしているけど、身近にこんなレストランがあるのはラッキーだなと思います。スカイツリーに東京タワーといったTOKYOのシンボルも一望できる、この夜景を見ながらの食事は、それだけで素晴らしいエンターテインメント。ダンスミュージックがそこそこの音量で鳴っているのに食事の邪魔をしないのもこのキャパシティならでは。料理を食べる前から既に満足です(笑)」それでは料理を頂きながら、まずはお店に「選曲」お願いします!「こういう高層ビルに来ると思い出すのが、9・11の同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンターのこと。実はあの衝撃的な事件の一週間前に、最上階のレストラン『ウィンドウズ・オブ・ザ・ワールド』でNYの友人に呼ばれてDJとして出演していました。毎週火曜日にDJが入りクラブになるんですよ。そこで、一番盛り上がってた曲が、フランク・シナトラの「ニューヨーク、ニューヨーク」。フロアのお客さんが全員で大合唱していて、この箱では欠かすことのできないアンセムになっていました。この曲は、1970年代後半にリリースされて以降、NYヤンキーススタジアムで試合後に流されたりと、いわばニューヨークを象徴するテーマ曲として様々な場面で愛されている曲。一方で、自分の住んでいる東京には都市の代名詞と呼べる曲がないということに気付きました。今回Longrain には、自分の曲ですけど、あえてFPMの「TOKYO」を選曲したいと思います。無機質な電子音がエスニック料理とミスマッチに感じるかもしれないけど、圧倒的な夜景の中ではそこにラディカルな東京が浮かんでくるような気がします。ただ、この曲も東京のアンセムとは決して言えません。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国策としてでも、東京を象徴する楽曲を作るべきですね。例えば坂本龍一さんに手掛けてもらえたらとか、自分もお手伝いできるならぜひやりたいプロジェクトです。」今回は、Longrainの人気メニュー「シーフード グリーンカレー」への選曲で締めたいと思います。「映画『The Thomas Crown Affair』のサウンドトラックを選曲します。92年にサウンドトラック縛りでDJをする”SOUND : IMPOSSIBLE”というユニットを結成して京都を中心にイベントもやっていましたが、局地的なシーンにズバリはまるのはやっぱりサントラ。なかでも、この作品はミシェル・ルグランの傑作です。夜景とグリーンカレーとのマリアージュも間違いないでしょう!何より、この映画の邦題は「華麗なる賭け(カレーなるかけ)」だからです(笑)-次回も乞うご期待!

田中知之(FPM)/DJ,プロデューサー

‘97年『The Fantastic PlasticMachine』でデビュー以降、8枚のオリジナルアルバムをリリース。リミキサーとしても、FATBOY SLIM、RIP SLYME、布袋寅泰、くるり、UNICORN、サカナクション、Howie Bなど100曲以上の作品を手掛ける。『オースティン・パワーズ:デラックス』や『SEX AND THE CITY』への楽曲提供の他、村上隆がルイ・ヴィトンの為に手掛けた短編アニメーションの楽曲制作や、世界三大広告賞でそれぞれグランプリを受賞したユニクロのウェブコンテンツ『UNIQLOCK』の楽曲制作を担当するなど、活躍の場は多岐に渡る。DJとしては、日本国内はすでに全都道府県を制覇、海外でも約60都市でのプレイ実績を誇り、近年でも出演イベント数は年間100本を軽く超える。国内の有名フェスは元より、米国のコーチェラ・フェスティバルやイギリスのレディング・フェスティバルなど海外の有名フェスへの出演経験も多数。ジャンルという固定概念に縛られる事の無い豊富な音楽知識に裏打ちされたプレイスタイルは、国内外のハイブランドのパーティーDJとしても絶大な信頼を得ている。http://www.fpmnet.com

編集者PLUG

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