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検事としてのバリバリのキャリアを捨て、政治家に転身。法案を次々と可決させる辣腕が光る岡山2区選出の国会議員。当選3回で初入閣した法務大臣、山下貴司に訊く!

「日本=東京」ではない!郷土岡山で培われた地方創生への信念。

山本〉元検事というご経歴ですが、法曹の道を目指したきっかけは。山下〉TV番組に影響されて〝悪い奴らを捕まえる〟刑事や検事に憧れました。法曹というよりも目標としたのは「正義の味方」でしたね。山本〉高校までを岡山で過ごされていましたが、郷土が山下大臣に影響を与えている部分はありますか。山下〉これまたTVの影響ですが、当時の超売れっ子漫才師が岡山を蔑むようなネタをしていました。子ども心に「なんで笑われるんだろう?」って。こんな住みやすくて良い街はない。豊かな自然、気候も良く、都市機能もしっかりしている。「岡山は日本の《暮らしやすい街》の代表格なのではないか」と常々感じていました。これは今でも岡山の地方創生に携わる上で自分の信念を形成してくれた大きな事柄です。もう一つは《人》。当時やんちゃだった友人たちが周囲の支えでいい大人に成長している。《人》の成長を見守り、支える社会づくりの考え方につながりましたし、またそんな《人》たちが今の自分を支えてくれている。岡山はかけがえのない存在です。山本〉エリート官僚の職を捨てて政治家転身。迷いはなかったのですか?山下〉東京に住みはじめた後も、岡山にはよく帰省していました。前述の通り、私の心にあった〝岡山は地方の代表格〟という考えから「岡山が良くなれば日本が良くなるのではないか?」という思いは帰省するごとに大きくなっていきました。官僚は決まった枠内での仕事しかできません。自分の理想が実現できて、ふるさとのためにもなり、ふるさとの仲間と共に汗を流せる——これらすべてを叶えるためには政治家しかないと考えました。山本〉正直、私が大臣の立場であれば「政治家なんて」と踏み切れないような気がしてしまいますが。山下〉日本のことを真摯に考えている政治家は確実にいます。検事が「悪を糺す」に対して、政治家は「良を伸ばす」に近い。政治がしっかりしてさえいれば、もっとできることは広がります。それに、岡山の友人たちが事業経営や地域の活動に果敢にチャレンジしているのを見て、自分だけ何もしないわけにはいかないとも感じていました。むしろ政治家になりたい、という気持ちよりも「ふるさとの役に立ちたい」という思いが強かったのかもしれません。「岡山の皆さんの手で国会議員にさせていただきたい、もし選ばれなくても仕方ない」。そう決心して、妻に相談することもなく辞表を出してしまいました。

国民の《一般常識》とは乖離した現実に直面。

山本〉初当選を果たされた際、〝一票の格差〟問題で違憲判決をくだされましたが、その時はどんなことを考えられましたか。山下〉「応援していただいた方に申し訳ない!」という気持ちの傍ら、客観的に興味深く見ている自分がいました。違憲判決が出たのは岡山2区でしたが、この問題は全国にあったもの。当然、これから正していかなくてはならないことではありますが、最高裁があの時に岡山2区しか裁けなかったということ。幸いなことに、支援いただいた皆さまからは励ましの声しか聞こえず、かえって支援者の方々との結束が高まりました。山本〉ご自身の理想を叶えるための国政選挙参戦でしたが、国会議員になってみて、国会で感じた想像とは違う現実はありましたか。山下〉正直、ギャップはありました。国権の最高機関が国会ですが、民間企業と比べると決定のスピードがとにかく遅い。例えば、国会の資料一つにしても、深夜ギリギリにあえて野党が提出してきた資料を翌朝の開会に間に合わせるために官僚が徹夜して作成しています。これは国民から見ると「現代の世情に合っていない」と思われても仕方のないこと。本来、国会は民間よりも先取りしていなければならないのにという思いもあります。また、国会は多数決ではなく「全会一致」が基本。野党の反対意見を丁寧に受け止めながら、可決へとまとめていかなければなりませんが、議会運営の方法、法案成立への過程には改善すべき点がかなりある。こうした仕組みを抜本的に見直すことも、私自身の大切な役目だと思っています。

全会一致で次々と法案を可決する《突破力》

山本〉当選以来、既に9本の法案を次々と可決されています。当選回数や役職に関わらず、国会議員が誰か本気で動けば新しい法案が生まれるんだということが、山下大臣のおかげで再認識できました。ご自身のスローガンでもある《突破力》がまさしく発揮されたように思いますが。山下〉私は岡山出身ですから、「犬養木堂」の言葉が政治家としてのルーツ。「話せばわかる」の精神と諦めの悪さこそが私の《突破力》です。理解していただけるまで、何度でも足を運べば良い。しつこく協力をお願いすることこそが重要だと考えています。年末に可決した「チケット不正転売禁止法」をはじめ、私が提案した議員立法はすべて《全会一致》ということもあり、想像以上の達成感がありました。

政治家として成すこと

山本〉政治家として〝これだけは成し遂げたい〟ことは何でしょうか。山下〉まず、地方と日本全体が伸びようとする力を邪魔する法律や慣例を排除することです。民法は近時、債権法の全面改正や相続法の改正など、大きな改正が相次ぎましたが、全体としては実に100年以上変わっておらず、一部については現代社会との歪みが顕著になっているとの指摘もあります。また、国会答弁にしても議員数問題にしても、非合理的な従来の慣例が政治の体力を奪い、本当に必要な法案が通らないといった現状があります。これらを排除することで日本はさらに良くなっていくはず。もう一つは、「誰もが感動する演説をしたい」ということです。ケネディの就任演説やキング牧師のような、聴く方全員のことを思い、人生を賭けて語る数分を演出できたらいいなと思うのですが、これはできないまま終わりそうな気もします(笑)。地方創生の実現山本〉私自身、《地方創生》とは何かを考えた時、それはそれぞれの地方都市の人口増加と税収増加に関わるものであるべきだと行き着きました。耳障りの良い言葉に集約されすぎて、何が本来の目的かを見失っている事業や取組が散見されます。また、そういったものに国費が投入されている事例も見過ごしたくはありません。予算を割り振る各省庁が資金投入する事業の良し悪しをジャッジできるだけのリテラシーを必ずしも備えているわけでもないと思います。山下大臣の考える地方創生について教えてください。山下〉人口や税収の増加ばかりではなく、自分のふるさとの魅力を知り、楽しんでいる人を増やすことも地方創生だと思います。私自身、東京やニューヨークで暮らした経験もありますが、「楽しい」と思えたのは地方でした。岡山は特に、気候、産業、自然、交通そして人に恵まれたバランスがとても良い稀有な地方都市。岡山の良いところを伸ばして、仲間と一緒に発信していくのが《地方創生》の本懐であるべき。議員立法と同じ、「みんなでやろうぜ」が重要だと思います。お金に関わらず、地方の背中を押していくのも国の役目ですが、まずは地域の皆さんに発信していただかないと霞ヶ関まで伝わらないのが実情です。それらが成功するかどうかも重要ですが、熟慮を重ねた上でのチャレンジは結果がどうであれ決して失敗とはいえない。国はそうしたひとたちの思いをしっかり応援していく姿勢です。山本〉最後に、岡山の人たちにメッセージをお願いします。山下〉岡山にもっと自信を持っていただきたい、そして岡山に住んでいる自分を誇りに感じていただきたいと思います。岡山は〝天地人〟が揃った素晴らしい地方都市。これからの岡山を、仲間と共に創りあげていってほしいですね。

やました・たかし/法務大臣/衆議院議員

1965年岡山市生まれ。検察官、法務官僚、弁護士。岡山県立岡山操山高校、東京大学法学部卒業。コロンビア大学法科大学院修了。2010年、法務省刑事局国際課国際刑事企画官を最後に退官し、自由民主党公認で岡山2区から2012年に出馬、初当選。2017年に法務大臣政務官・内閣府大臣政務官に任命、翌2018年には法務大臣に任命され、当選3回で初入閣を果たす。2018年12月に、外国人労働者受け入れ拡大を目指す「改正出入国管理法」を可決、また議員立法として「チケット不正転売禁止法」を可決させる。家族は妻、1男2女。好きな音楽はサザンオールスターズ、尾崎豊、いきものがかり。
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やまもと・ゆうすけ(YAMAMON)/PLUG編集長

1985年生まれ、岡山市北区建部町出身。プラグ創刊のため立命館大学を中退し帰岡。ミュージシャン、ファッションデザイナー、モデル、タレント、女優、作家、文化人、建築家、現職の総理大臣も含め各業界、国内外で活躍する数々の著名人へのインタビューやトークショーを行っている。また、地方都市としては国内最大級のドレスコードパーティー「プラグナイト」のプロデュース、オカヤマアワード運営事務局長も務める。
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編集者PLUG

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